50年ほど前に兵庫町の当時第一勧業銀行の前で屋台を開いて、その後扇町恵比寿神社近くで15年ほど前まで屋台を開いていた、屋号もなく山下さんというおじさんがやっていたラーメン屋がありました。
毎日100杯限定で、遠くからも食べて来ていたようですが、とても混んでいるラーメン屋でした。
透き通ったあっさりしながらコクがあるスープで、麺は堅めでほどよく、昔ながらのラーメンでした。その弟子が何人かいて、三宅病院前屋台(今はない)もその一人でした。
今の主流はとんこつギラギラのこってりラーメンですが、このラーメンは正反対のあっさりしたもので、毎日でも食べられます。
この主人はとても変わり者で、客とは一切しゃべらず、天気が少しでも悪かったら店は開かず、また、スープが納得できないできであれば店を閉じます。どうもこのご主人浮気をしてらしく、何日も帰ってこなかったりしてました。(このことは奥さんから聞いた話です。)
まさしく「幻のラーメン屋」だったところです。なくなって10年でしょうか・・・
作り方を聞き出したかったのですが、この親父さん変わり者で無口で全然相手にしてもれえませんでした。(なにしろ注文しても返事さえかえってこなかったくらいで)
が、私がしつこくアプローチしたせいかその当時、私の家まで来てくれました。
それでも親父さんは全然しゃべらなかったので、質問攻めにすると、親父さんは丁寧に教えてくれたのです。
材料30人分
スープの材料(すべて最も新鮮なものを選ぶ)
親鳥のガラ5と小骨1kg
豚のげんこつ5
7㎝ほどの煮干し(頭と内臓は取り除く)500g
スープのたれ(一人前分)
薄口醤油(鎌田醤油)又は鎌田醤油のだし醤油10cc
塩小さじ1/3
味の素小さじ1/3
胡椒小さじ1/3
焼き豚
豚の外もも1kg×4
醤油250cc
味醂250cc
砂糖大さじ5
塩
胡椒
小麦粉 少々
小麦粉 少々
その他
もやし6袋
メンマ(塩漬けのもの・フタバ製麺087-885-0418)
細ネギ2束
塩
味の素
胡椒
麺(フタバ製麺087-885-0418)
①寸胴(20L)に鶏ガラ・小骨をしきつめます。げんこつをハンマーで割り、中の骨の髄が出るようにしてから、鶏ガラ小骨の上に置き、蓋をして30分ほど強火で焼きます。蓋は絶対に開けないこと。蒸気の匂いで焦げているようなら火を弱めます。
骨を焼くのは血を固まらせてスープを濁さないようにするための工程です。熱湯でガラやげんこつを洗うのも同じような効果があります。
鶏ガラの上にげんこつを置くのは、鶏ガラが浮いてくるのを防ぐ役目もあります。
②沸騰したお湯を入れて寸胴を満杯にします。
ここで冷えたお水を入れることは厳禁です!沸騰したお湯を入れると、もともと寸胴が高温になっているためにしばらくは沸騰しますが、火を最小限弱くして、「プツプツ」となるくらいまでに落ち着かせてください。これを「天使の微笑み」といいます。これは何度も火を調整しないとうまくいきません。注意しながら行って下さい。お湯を入れてからはスープが濁るため決してふたをしてはいけません。
③このまま8時間炊き込みます。
コンロの周りに風がある場合(屋外など)は、コンロ周りをアルミで包んだりして、安定した火加減をキープしてください。
絶対にかき混ぜてはいけません!鶏の骨が浮いたりしますがそれはそのままで、なるべく具材に触らないようにしてください。目指すのは、澄み切ったスープを作ることです。
途中油が浮いてきます。油が無いところが沸騰しますので、沸騰させる面を10センチ四方くらいになる感じで油をとります
油をとりすぎるとスープが早く無くなってしまいます。
④火を入れてから6時間後に、スープの上にある油は全て取り除きます。
このとき、レードルで取るとスープまで取ってしまうので、油取り専用のストレーナー(小さな網)もしくは、お鍋をするときに使うような小さなあく取りの網なんかを使います。
つまり、スープまで取ってしまわないように充分気をつけます。
⑤油を全て取り除いたら、頭と黒い内臓を取ったいりこを入れます。いりこは入れる前に、油をしかないテフロンのフライパンなどで焼いて、少し焦げ目をつけ、スープの中に「ジュッ」という音と共に入れます。
油を取ると温度が下がるので、火を少し強くすることを忘れないでください。常に「プツプツ」となっている「天使の微笑み」状態を維持してください。季節によっても変わります。
⑥いりこを入れたあと、さらに2時間焚いて出来上がりです。合計8時間でやっとスープが出来上がります。
焼き豚の作り方
①スープの出来上がる2時間前から豚の外モモを1kgごとに切り分け、できればチャーシュー用の網(肉屋さんやスーパーで分けてもらえると思います)に入れます。無くても大丈夫ですが、あれば出来上がりの形が良くなります。
②網をかけたあと、塩コショウをたっぷり刷り込みます。その後、小麦粉をふるいにかけて、表面にごくごく薄くまんべんなく付けます。
厚手の、深みのあるフライパン(中華鍋が最適でしょう)で、肉の表面をこんがりと焼きます。少し油をしき、強火で焼きます。
いったん肉を出し、うまみのついているフライパンにみりん・しょうゆ・砂糖を入れ、沸かします。湧いた後に肉を再び入れ、ごく小さい火で40分煮てください。5分おきに肉の方向を変えて、まんべんなくたれがしみこむようにしてください。
40分煮た後は、蓋をしてそのまま置いておきます。
具材の作り方
①もやしは洗って10秒くらいゆでれば使えます。時間が経ったものは味が落ちるので、できればゆで置きせずに、その都度ゆでるほうがおいしいです。
②ネギは香川県特有の細ネギが美味しいですよ。
ネギは白い部分が甘くて、先にいくほど辛くなります。美味しい部分は下の白いところなので、根を切るときは大胆に切るのではなく、できるだけ白い部分を残すように根を切りましょう。小口切りにしたものは、根元側と先側を混ぜておきましょう。
時間を置くと乾燥して極端に味が落ちますので、できるだけ切ってすぐ使いましょう。
③メンマ(シナチク)は、プロは塩漬けになったものを使います。市販されているものは味が濃く、スープの味を変えてしまうのでお勧めできません。
塩を完全に洗い落し、網の中に入れて、1時間流水にさらします。絶対に流水で行ってください!
私は味付けは一切しません。スープに味が付いているので、味が無いほうが良いと思います。
もし味付けするなら、しょうゆ・みりん・ごま油などで薄く味付けしてはどうでしょうか。
メンマは1kgの袋入りしかありませんが、長持ちしますので、他の料理にも使えます。思い切って買ってみたら良いと思います。
ラーメンを作りましょう!
①お湯をできるだけ大きな鍋で思いっきり沸騰させ、手でほぐした麺を入れます。入れてすぐに箸でかき混ぜてください。麺同士がひっついたり、鍋の底にひっつくことがありますので、必ず箸でかき混ぜてくださいね。
一人前の麺を湯がく網を使うのはお勧めしません。
一人前づつ、面積の大きい鍋で、短時間で湯の中を泳がせると、麺が美味しくなります。また、湯が濁ると、麺は極端に美味しくなくなりますので、できるだけ沸騰したお湯を継ぎ足すかお湯を変えて、新鮮なお湯を保ちます。
固めに茹でるのが絶対に美味しいのでお勧めです!
麺を入れて再沸騰してから20秒くらいが、私のベストな茹で時間です。
②湯がくまでの間に、どんぶりに塩・味の素・胡椒・しょうゆを入れて、スープをレードルで3杯(300cc)入れます。胡椒は私は濃いめが好きですが、少なくてもいいです。ただし入れないと味がぼけますので、強制的に入れてください。
③湯がいた麺を良く湯切りして、どんぶりの中に入れます。綺麗に見せるためには、お箸で真ん中をつかみ、30センチほど引き上げて畳むようにすれば、綺麗に見えます。ざるうどんを参考に。
④麺の上に、もやし・メンマ・チャーシューの順にのせ、最後に真ん中に細ネギをのせて完成です!!!
これは難しくてできない!!という方は、次回かんたんレシピをお教えします。
乞うご期待!